2007/08/17
8月のスペシャル 最終回
笑のNEW♡MAP FROG!
気ままにゆるゆると不定期更新予定です。
まっすー応援企画!!
8月のスペシャル企画 「ちょっと怖い話」
昨日に引き続き、夏の暑〜い夜に、こんなお話はいかがですか?!
4回シリーズ。 最終回 !
目の前に煤けた白っぽい壁があった。
しかし、時間が経つにつれ、サキは、それが天井だとわかった。周りを見ると、どこかの病室らしい。
サキは目だけを動かし、周りの様子を窺った。病室にはサキが使っているベッドの他に3台のベッドが使われずに置かれている。窓からは、目覚めたばかりのサキに
遠慮容赦なく夏の陽射しが差し込んでいた。
そこに、たっぷりとした体格の看護師が入ってきた。
「あら、目が覚めたのね?!よかったわ。今、先生を呼んでくるわね。」
そういって、出ていた看護師は、ほどなくして医者を連れて戻ってきた。
「だいぶ疲れが溜まっていたようですが、検査結果に問題もないので、様子を見て明日か
明後日には退院できますよ」
医者は脈を診ながらそういうと、さっさと出て行った。
事態が飲み込めていないサキに気がついた看護師は、早口で言った。
「あなた、昨日の昼に街で倒れて、ここに運ばれてきたのよ。」
「え゛っ?!」
サキは声にならない声を出した。看護師は余程話し好きらしく、延々と1人しゃべり続けている。
昼、街で倒れた?違う!夜の帰り道だった。アイツが現れたのだ。
今も肩に掴まれた感覚が残っている。
しかし、看護師は街中で倒れてここに運ばれてきたと言う。
サキは、頭の中に突然出現したブラックホールのようなものに、考えようとした事全部を吸い取られていくような感覚を味わっていた。
ひとしきりしゃべって気が済んだのか、
「じゃ、また様子を見に来るわね」
と言って看護師は病室を出ていった。
しばらくして、少しは冷静になったのか、サキは自分に起こったコトを思い出そうとしていた。
間違い電話男からのたくさんの着信。いやな気配。メール。肩を掴まれた感覚。
(...。そうだ!着信履歴!)
サキは、ベッドのまわりを探し、バッグから携帯を取り出した。急ぐ手がちょっと震えていた。
(?!)
携帯の着信履歴から、あんなにあったあの番号がなくなっている。どんなにスクロールしても、
あの番号は出てこない。アイツからのメールも消えている。
(誰かが履歴を消した?いったい誰が...。)
サキは、せっかく取り戻した冷静さをまた失いかけていた。
自分に起こった数々の出来事が、ますます分らなくなっていた。
(いっそのこと、今まで起きていたことが夢だったらいいのに)
むしろ、夢だったほうが救いがあるのだ。
サキは現実と記憶の底なし沼から逃げ出そうと、携帯をベッドの上に放り出して病室を出た。
どこに行こうという目的はなかった。ただ、外界から隔離されたようなこの病室に、
独りきりではいたくなかっただけだった。
サキがいなくなった無人の病室に残されたのは、相変わらずの無遠慮な夏の陽射しと携帯電話。
どれくらいの時間が過ぎたのか。サキは、まだ戻っていない。静かな時間だけが流れた。
その静けさを断ち切ったのは、携帯の電話番号で届くメールの着信音とバイブ音だった。
申し訳程度の着信音とくぐもったバイブ音が止んだあと、病室には何事もなかったように
静けさが戻っていた。
ただ、携帯だけはメールの着信を知らせるため、ぼんやりと、しかし一定のリズムで光り続けていた。まるで、持ち主に対しての忠実な僕(しもべ)であるかのように...。
気ままにゆるゆると不定期更新予定です。
まっすー応援企画!!
8月のスペシャル企画 「ちょっと怖い話」
昨日に引き続き、夏の暑〜い夜に、こんなお話はいかがですか?!
4回シリーズ。 最終回 !
目の前に煤けた白っぽい壁があった。
しかし、時間が経つにつれ、サキは、それが天井だとわかった。周りを見ると、どこかの病室らしい。
サキは目だけを動かし、周りの様子を窺った。病室にはサキが使っているベッドの他に3台のベッドが使われずに置かれている。窓からは、目覚めたばかりのサキに
遠慮容赦なく夏の陽射しが差し込んでいた。
そこに、たっぷりとした体格の看護師が入ってきた。
「あら、目が覚めたのね?!よかったわ。今、先生を呼んでくるわね。」
そういって、出ていた看護師は、ほどなくして医者を連れて戻ってきた。
「だいぶ疲れが溜まっていたようですが、検査結果に問題もないので、様子を見て明日か
明後日には退院できますよ」
医者は脈を診ながらそういうと、さっさと出て行った。
事態が飲み込めていないサキに気がついた看護師は、早口で言った。
「あなた、昨日の昼に街で倒れて、ここに運ばれてきたのよ。」
「え゛っ?!」
サキは声にならない声を出した。看護師は余程話し好きらしく、延々と1人しゃべり続けている。
昼、街で倒れた?違う!夜の帰り道だった。アイツが現れたのだ。
今も肩に掴まれた感覚が残っている。
しかし、看護師は街中で倒れてここに運ばれてきたと言う。
サキは、頭の中に突然出現したブラックホールのようなものに、考えようとした事全部を吸い取られていくような感覚を味わっていた。
ひとしきりしゃべって気が済んだのか、
「じゃ、また様子を見に来るわね」
と言って看護師は病室を出ていった。
しばらくして、少しは冷静になったのか、サキは自分に起こったコトを思い出そうとしていた。
間違い電話男からのたくさんの着信。いやな気配。メール。肩を掴まれた感覚。
(...。そうだ!着信履歴!)
サキは、ベッドのまわりを探し、バッグから携帯を取り出した。急ぐ手がちょっと震えていた。
(?!)
携帯の着信履歴から、あんなにあったあの番号がなくなっている。どんなにスクロールしても、
あの番号は出てこない。アイツからのメールも消えている。
(誰かが履歴を消した?いったい誰が...。)
サキは、せっかく取り戻した冷静さをまた失いかけていた。
自分に起こった数々の出来事が、ますます分らなくなっていた。
(いっそのこと、今まで起きていたことが夢だったらいいのに)
むしろ、夢だったほうが救いがあるのだ。
サキは現実と記憶の底なし沼から逃げ出そうと、携帯をベッドの上に放り出して病室を出た。
どこに行こうという目的はなかった。ただ、外界から隔離されたようなこの病室に、
独りきりではいたくなかっただけだった。
サキがいなくなった無人の病室に残されたのは、相変わらずの無遠慮な夏の陽射しと携帯電話。
どれくらいの時間が過ぎたのか。サキは、まだ戻っていない。静かな時間だけが流れた。
その静けさを断ち切ったのは、携帯の電話番号で届くメールの着信音とバイブ音だった。
申し訳程度の着信音とくぐもったバイブ音が止んだあと、病室には何事もなかったように
静けさが戻っていた。
ただ、携帯だけはメールの着信を知らせるため、ぼんやりと、しかし一定のリズムで光り続けていた。まるで、持ち主に対しての忠実な僕(しもべ)であるかのように...。



